2009年6月28日日曜日

遙々と


[Konza Prairie @ Kansas]

大学院時代に寮で一緒に暮らした福島さんが、
遠路遙々日本からやってきた。

福島さんとは雨漏りすら愛嬌に思えるぐらい古くて、
二つ布団敷いたら畳一枚分ぐらいしか残らない狭い部屋で
二年間も一緒に過ごした。

まぁお互いほとんど部屋にはおらず、
夜遅くにだいたいどっちかがorどっちとも酒飲んで帰ってくるか、
部屋で飲んで寝るかのどっちかだったので、
思えば狭いけんつってストレスに感じることはなかったように思う。

というより、そうしないと生きていけない状況が、
そうさせてたのかもしれん。家賃安かったし。

話しは戻って、そんな福島さんとKansasで再会。
寮の狭さとは正反対、世界の中でもこのだだっ広さは
結構ハイレベルに違いない大平原のど真ん中で再会した。

俺のお気に入りLittle Apple Breweryを始めとして、
この街のレストランやバーに夜な夜な繰り出したり、
アメリカ西部開拓の玄関口となったSt Louisへと出かけたりで、
あっという間の三日間。


[Gateway Arch@St Louis,
Memorial Architecture for Westward Expansion]


[Bush Stadium 1]


[Bush Stadium 2]


[Budweiser Factory Tour with Free Beer thereafter(大人の社会科見学)]


[Sicilian Pizza@California Pizza Kitchen (LA以来一年振りの再会。最高。)]

確かにお互いにあの頃とはいろいろ違う。
福島さんは日本の大学で、俺はここで研究に励む日々。
福島さんは結婚して家族を持ち、俺はまぁ変化なし。

ばってん酒飲んで話すと相変わらずあの頃のまんまだ。
成長しとらんのか、それとも変わらない良さがあるのか。
きっと後者だと勝手に思っとこう(笑)

最終日ふと"幸せ"の話しになった。

思うに自分は決して強い人間ではない。
ばってん、そんなに弱くもないし、だいたいは毎日元気でおることができとる。

それはなんでだろう。

もちろん自分が頑張っとるところもあるだろう。

だけど、家族や友達はじめ、自分の周りのいろんな人がいろんなところで
支えてくれたり刺激し合ったりってのが大きいんだと思っている。

そのことをしっかり感じれること自体がむちゃくちゃ幸せなことだろう。
当たり前のことだろうが、そのことを確認できたことが大きかった。

幸せすぎることだ。

そんな感じでよくありがちな酔っぱらいの会話に熱くなっていると、
お前ら何語をしゃべっとるんや?とへべれけになったおっさんに途中で水を差された。
"ジャパニーズたい。"と言ってやった。

そんなのも含めて久しぶりに楽しい時間だった。

福島さんを空港へ送った帰り道、まぁ正直少しだけ寂しくもあったばってん、
今度会うときは絶対にもうちょい成長して大きくなっとかんとなと感じた。

ありがとう、福島さん。

ほんとありがとう。

何もないと思われがちなアメリカ中西部の旅を楽しんでもらえたかだろうか?
いや、きっと楽しんだはずだ。



また会おう!

2009年6月14日日曜日

膝小僧

こけた。思い切りこけた。
5年ぶりぐらいにチャリでこけた。

週末恒例となりつつあるLinear Park往復。
途中、延々と直線が続く部分がある。
ちょうど思いきり漕ぎたくなるタイミングの場所にある。
砂利道なので俺のロードバイクにはちと負担が大きい。
ばってん、そんなの気にせず前に進むのみだ。

今日はその道を思い切り走りながら、
ほんとはまだまだペースを上げれるんじゃねぇか?
今のそのペースに甘んじてはいないか?限界に挑んどるか?
とか良からぬことを思い始め、めちゃくちゃ漕いだ。

たまに声も出したさ。"もう少~し" とか。
英語でも"Come on"とか"One more"とか言ってみた。

誰も周りにおらんかったし(笑)
声を出すと力が出るのは本当だ。

めちゃくちゃきつかったが、そこを走りぬけた後は爽快だった。
とにかく楽しい。理由はない。


爽快なまま気が抜けとったのか、
その後、普通道と一旦交わるところのカーブで、
縁石に乗り上げそうになり、チャリを制御できず.....

こけた。思い切りこけた。

いや~、こけたよ。


幸い擦り傷だけだ。

かすかな記憶と、できた膝小僧と肩の傷からの推測を合せると
こける瞬間、チャリの片方に飛ばされて、膝を着き、
受け身をとるように肩から落ちてアスファルトに転び、
回転してあおむけに道路に寝とった。

何人かまわりにいたので、恥じらいもあり、
何ごともなかったようにその場を去ってしまった。
風のように。

次はもっともっと集中して走らないといけない。

ばってん、手袋をはめとって手の外傷はないし、
たまに帰りは汗で濡れたTシャツを脱いで帰るところを
今日はなぜかそのままビショビショのまま着とったし、
こけて運が悪そうにも見えるが、実は運良いんだなと帰りながら思った。

しかし膝小僧はいくつになっても痛いぞ。

[I know you want me/Pitbull]

2009年6月11日木曜日

排水管のはなし 

さて。書くか。

今夜は排水管のはなし。

今日は長くなる。



Chapter 1 "Unknown Stuff"

先週は何気に忙しい一週間だった。

月曜日から疲れ果てて帰宅。
冷蔵庫のあるキッチンへ直行。

ここまではいつも通り。

ばってん、なんか臭うぞ。キッチンのシンクを覗く。
何やら茶色い悪臭を放つ物体が、広いシンクの中に浮上してきている。

とりあえず流そうとするわな。普通。

ばってん、流れん。いっちょん流れん。
驚異の臭いを含んだ水がシンクにたまっていくだけ。

この時点で既に1時を過ぎている。

何が起こった?

最近アメリカ人の真似をしてヒマワリの種を食っとるけど、
そのカスが詰まってしまったのかもしれん。

いろいろ考えを巡らせながらも、
とりあえずこの"くさい奴"をどうにかせんと寝れん。

トイレをチェックするとトイレや洗面台は流れることが判明。

さて、どうしたか?

もうこれしか残された道はない。

「一人バケツリレー。 from キッチン to トイレ。」

バケツなんかもっとるわけないけん、数か月前に行ったガレージセールで、
すごく感じのいいおばちゃんが売ってくれた大きな鍋を使用。
浅くなってきたら、いつもはビールのお供にしているコップに切り替え(泣)。

「なんでや~。」とか、「くっせぇ~。」とか、「くっそ~」とか
ぶつぶつ言いながら、ひたすら、奴をカーペットにこぼさんように往復。

最近、せっかく珍しく自炊しとるのになんてついてない。

ばってん、とりあえず貯まっている水はなんとかトイレにリレーできた。
ばってん、依然として流れるわけはないので臭いはとれていない。

ここまでくると俺にも意地がある。

シンクの下の排水管を見てみた。
プラスチック製でどうやら手で外せそうな感じだった。
嗅覚はもう半分麻痺しとるし、もうやるしかない!と気合いを入れ作業開始。

とりあえず、被害拡大を防ぐため、下に先の大鍋を敷いて、
上の2つのシンクから繋がっているU字管を外す。

外した瞬間に出てきた。奴が。
こんな夜中に俺に一人バケツリレーをさせた原因が出てきた。

これで修理できればこれまでの苦労も報われってもんだ。

てやんでぃ。

上機嫌でパイプを繋ぎ直す。



水を流す。

よし、完了。

パーフェクト!



といかんのが、おそらく、人生の面白いところで、依然として流れん。

そして依然として臭い。





Chapter 2 "Black White Knight"


もう一回、パイプの当たりを見渡す。

パイプの中はクリアーなはず。
そしたら、その上、シンクとパイプのつなぎ目か。

よく見るとシンクとパイプの間にコンセントに繋がった黒い電気機器があった。

なんやこれ?

と思い、古びたステッカーを読んだ。

どうやらシンクに流れてしまった野菜のカスを
細かく切り刻んで流してくれる電動のカッターらしい。

なんだ、こんな便利なやつがあるじゃん。
多分原因がヒマワリの種のカスなら、これで解決できるはず。

遂にやれる。救世主が現れた。
この黒い救世主の赤いスイッチを押す。

.......動かんばい。

コンセントを別の離れたところに繋ぎ直してリトライ。

........ダメ。


スイッチを強く押す。

....しばらくの沈黙の後、なんと動いた!!

ばってん、5~6回に1回しか動いてくれん。
プロ野球ならこれを助っ人とは呼べんだろう。

とりあえず押し続けた。水が流れるまで。

そしたら、突然、黒い救世主が熱を持ち、今度は火を噴いた。

炎上である。手のひらサイズの炎が出た。

これはビビった。

やってしもたと思った。

が、冷静に水をぶっかけ続けて熱が冷めるのを待った。

もう朝方。ここまで来るとお手上げだ。

明日も仕事がある。

シャワー浴びて、泥のように眠りについた。

パイプを外したまま....





Chapter 3 "Messy, again"

昨夜の激闘の余韻を残しながら、隣か上の人が水道を使う音で目を覚ました。

覚ました瞬間、やけに不吉な予感がした。

あんまり寝てねぇなとかも考える余裕なく、キッチンに走った。

とりあえず何も起こってない。セーフ。



と、思った瞬間だった。

戻ってきた。戻ってきやがった。戻って来んでいいのに。

昨夜よりもはるかに黒みを増した液状のものが、

今度はシンクではなく、外してしまったパイプからダイレクトに出てきた。

もうダメだ。

もう戦う力は残されていなかった。

幸い、アパートメントオフィスは同じ敷地内にあるのでヘルプを求めた。

屈強なおっちゃん達が部屋にやってきた。

"惨状"に顔をしかめながらも、"こんなの慣れとるわい"みたいな感じだった。

どうやら原因は俺のところではなく、排水のおおもとにあるらしく、
それが詰まっとるけん、一番下の階にある俺の部屋に逆流してくるらしい。

頼りになるおっちゃん達だ。

とりあえず修理が完了するまではキッチンば使わんどってくれと言われたが、
まぁそんくらい仕方ないし、洗面所が使えるしと思って、その日は大学に行った。





Chapter 4 "Big Hole Digged"

家に帰ってきた。

昨日よりは幾分臭いも取り除かれて少し安心。

ほんとにベッドしか置いてないベッドルームに行った。


驚くべきことが起こった。

目を疑うとはこんなことを言うのだろうと28年間生きてきて初めて思った。

ドリルが床に寝転がっとるばい。


砕いたアスファルトが山積みじゃないですか。


ベッドは丁寧にビニールでカバーされ、


その横には、


穴だ。


穴が掘ってある。

キッチンは特に変わった様子はないのに、
ベッドルームはさながら工事現場。

作業員のいない工事現場。

俺は何も聞いていない工事現場。

夜中やし、誰にも聞きようがない。

もうアメリカ来て半年以上経つし、滅多なことじゃ驚くこともなくなった。

ばってん、これは驚いた。

これは彼らにとっては普通なことなのかと。

とりあえず修理のためではあるし、誰に文句を言える時間帯でもないので、
パンツいっちょでその日はソファに寝た。





Chapter 5 "Good Mornig"

翌朝、7時半ぐらいだろうか、
俺が朝起きるよりも早くおっちゃんが部屋に入って来とった(笑)

ちょび髭の気さくなおっちゃんだ。

パンツいっちょでGood mornig。

まぁどちらにとってもGoodではないだろう...
とか思いながらも、おっちゃんとしばし談笑。

なんでも、キッチンのパイプはベッドルームに向かっており、
しかも結構な重症らしいので、穴を掘らんといかんかったし、しばらくかかるとのこと。

朝早くからめちゃくちゃ頑張っているおっちゃんを見て、文句は言えんかった。

むしろ、俺も頑張ろうとやる気が出た。

Good Morningだったのかもしれん。



続きはもうちょい続いていく.....

[Sade/By Your Side]