2008年6月29日日曜日

"いのち"みなぎる島へ

久しぶりの更新!

ちょうど一週間前は屋久島のど真ん中。地理的にも。旅の日程的にも。
新高塚小屋で疲れ果てて寝とるところだ。

あの島で、あの旅で感じたことを忘れたくなくて、帰ってすぐに記し始めたことを以下に載せます。
暇がなくて、結局全て書き上げたのは今日になったけど....


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6/24~の日記

まだ24時間前は屋久島におったんかと思うとえらい不思議。
夕方、福岡に帰ってきて、そのまま朝まで働いて意味分からんぐらい眠いけど、
この思いを時間で風化させたくはないから、頑張って書きます。

今週末、2泊3日で屋久島に行ってきた。
"いのち"がみなぎる島だ。


俺にとっては5年振りの屋久島。

きっかけはGWでの吉永との男飲みでの何気ない会話。あいつがふと言い出した。

「屋久島に行かん?」と。

目標は西日本最高峰 ”宮之浦岳”を登る屋久島縦走コース完走。
山小屋で一泊する未経験の山登りだ。

メンバーは、吉永、吉住、俺の三人。高校一年からもう10年以上の付き合いになる。

この旅に向けて、約1ヶ月かけて準備を進めた。
時には酒飲みながら、時にはE-mailで、時にはおばちゃん達がごったがえしとる
ショッピングモールをええ歳した男二人でうろつきながら。


6/20、金曜日の夕方に福岡出発。
最近の夜勤でリズムが一人だけ狂っとったけど、ここで寝たら夜寝れんくなると思い、
運転こそは吉永に任せっきり(ありがとう)やったけど、とりあえず頑張って起きとくことに。
(最後はちょっと寝ました)

夜、霧島に到着してからいろいろと買い物をしとる途中で寒気がしてきた。
俺自身あんまり体調崩すことはねぇから、逆に不安だったけど、温泉のおかげでだいぶ回復。
ビール飲んで、地鶏刺ば食って、大いに盛り上がって、さらに回復。

回復しすぎて、ほとんど寝れんまま、屋久島への出発の朝を迎えることになった。
いつもは朝6時頃にに仕事終わって帰って寝るのに、この日はその時間に起床。真逆やし。
さらに寝ようと思っとったフェリーでも寝れんで、6/21、土曜日の昼、
遂に俺ら3人は屋久島に降り立った。とりあえずRED BULLで気合いを入れる。

屋久島は島全体が花崗岩で形成されており、雨天時は想像以上に河川の流量が増加し、
危険を伴う。雨に濡れて体温を奪われるという身体的な負担も当然ある。
そして、 今は梅雨真っ只中。亜熱帯特有のスコールのような雨が降る。
屋久島には。

こんな状況の中、登れるかどうかが大きな心配だった。
ばってん、フェリーを降りると予想以上の天気。晴れ間も見える。
むちゃくちゃワクワク。「登れるばい♪」と心の中でも思ったし、声にも出た。

タクシーで一時間かけて、途中で弁当を手に入れたり、紀元杉を見たりしながら、
淀川登山口に到着。相も変わらず、この島はスケールが物凄い。

一般的な出発時間よりも半日遅い出発で、暗くなってからの山道が気がかりだったが、
そこは俺ら(まだ)若い男三人の体力でペースを早めてなんとかするつもりだった。
なんとかなる自信はあった。

登山口で各々準備を。みんな山登りの経験は薄いはずだが、それなりの格好をして。


しかし、登り始めて三分ぐらいで後ろから吉住の息がハァハァと上がった様子が…
そして小1時間すると今度は雨がポツポツ降り出した。
ポツポツと思っとったらいつの間にかザァザァと…。ばってん、登るのを止める程の雨じゃない。
こんなときのためにレインウェアもザックカバーもばっちり準備住み!
いつ準備したのかってぐらい吉永が綿密に登山計画を立てとったのも心強かった。

時には励まし、時には笑いながら、宮之浦岳のてっぺんをただただ目指した。
俺-吉住-吉永の配列で。
(絶対にペースダウンして周りが暗くなったらヤバいと思っとって、
体力が昔からすればだいぶ弱っとる吉住にはちと厳しいことも言ったけど。わりっ。)

倒れた杉の木に、若い木々がその根を縦横無尽にからませ、その根からまた木が生える。

杉に限らず、艶々した肌がきれいなヒメシャラもええ感じで森の中を賑やかに色づけとる。

まさに“いのち”の連鎖だ。

途中、森林地帯から、低草植物地帯に移り変わるところで、
俺らが少し登るのに疲れてきたところで、フッと目の前に現れた花之江河。

雨で少し霧がかった湿原地帯はまさに神様がくれた休息。
ヤクシカもこの旅で初めて俺らの前に姿を現し、水辺にはオタマジャクシが。
書いても書けんぐらいええ景色やった。

そして、また宮之浦へ。
表面にむき出した花崗岩をロープで登ったり、そこらへんを流れる水のうまさに感動したり、
やっと頂上についたぁと思ったら手前の栗生岳だったり、
高さ10 mはゆうにあるだろう大岩が何個も整然と並ぶ姿に興奮を覚えたり、
ワクワクもガッカリも感じながらやっと宮之浦岳山頂に到着!標高1936 m!
この瞬間、俺らは九州一高い場所におる人間だろ?とかはしゃぎながら。


いやぁ、山頂からの眺めはというと…..
大雨というか”ひょう”みたいなのが俺ら目掛けて降り注いで、景色なんか、
ほんと、全然っ、見えんかった。遠くは桜島まで見えるとどっかで聞いとったのに...

ばってん、そんときはそこまで登りきったってことがむちゃくちゃ嬉しかった。
足も、腕も、頭も、心も、フルに使いながら一歩一歩登ったってことが。
あの生き生きとした屋久島の森の中を。

(さすがにひょうが顔に当たって、それが痛くてゆっくりはできんかったし、
欲を言えば景色眺めたかったけど…)

その後、一泊目の予定地、新高塚小屋を目指した。
予定よりも約2時間早く到着。結構なハイペースやったと思う。
不慣れな登山道やったのに、みんなよく頑張ったと思う。

二日目も、二日目”も”、雨。大雨。この日は吉永-吉住-俺の順列。
しかし、もう俺らに雨の憂鬱さなんてない。
花崗岩に染み込めない雨水が流れる小川の中を登ったり降りたりする感じだった。
それが当たり前みたいに感じるようになってきとったし。

そしてその雨が逆に森の中を、なんというか、瑞々しくしてくれとった。
そんな中、現れた、現れたというか、ドカンとそこにおった縄文杉。
先頭をいっとった吉永がむちゃくちゃはしゃいで声を上げよったなぁ。


いろいろと説はあるが、間違いなく樹齢数千年は越えとる。
21世紀よりも遥か昔からそこに立っとる。そこで生きとる。
とにかく大きかった。暖かさ、優しさすら感じた。
この世界で何よりも一番存在感があるんじゃないかと思う。
写真やテレビでは感じることができない、
あの存在感をこの目で見れたことにただただ感動。

たった20数年しか生きていない俺らなんて、彼と比べたら、ほんとヒヨッコなんだろなぁ。

その後、ウィルソン株を見て、次の目的地”白谷雲水峡”を目指した。
もののけ姫の舞台のモデルになってからというもの、観光客に人気の場所だ。

しかし、この頃、雨がさらに強まり、横に見えた安房川はまさに激流。
白谷雲水峡は増水時は危険な場所らしい。


雨で失われつつあった体力、途中で話を聞いたガイドの薦めもあり、
残念ながら白谷雲水峡は断念し、荒川登山口へと続くトロッコ道をひたすら歩いた。

途中、休憩してカップヌードル食べたり、コーヒー飲んだりも。
なぜかカップヌードル"BIG"にこだわったんだよな。
休憩所でツアー客に料理を振舞ってたガイドの手際の良さにも関心。
そんなこんなで荒川登山口にて今回の登山を終えた。

白谷雲水峡は結構楽しみやったから、残念ちゃあ、残念ばってん、
夜、安房についてから飲みにいった居酒屋のおばちゃんが言いよった。
「白谷だけがもののけの森じゃなくて、島全体がもののけの森なんよっ」て。

言いくるめられたのか、諭されたのか、どっちかはわからんが、
実際、屋久島の山の中を、歩いて、感じてきたから、確かにそう思えた。

そして、そこで三人で飲んだ"三岳"がむちゃくちゃ旨かった。



今回の旅を終えて素直に感じたこと、思ったことがある。
再確認といった方がいいのかもしれんけど。

一つ目は”一歩一歩進むことの大切さ”だ。


登山道と言っても、いろんな足場がある。
その人によって足を運ぶ場所は違うしね。
一番大切なのは山のてっぺんを目指して登る気持ち。
その気持ちがあればとにかく前に進める。

時には注意を払い、時には無心で、
一歩一歩、歩みを進める場所を探りながら。
目の前の道を、そんで目の前の山や谷を登るだけ。
途中途中の景色をしっかりと見つめながら。

登る山はそれぞれ違えど、近くにいても、遠くにいても
声をかけあえる仲間と力と知恵を出し合って。

そしたら、いつかはてっぺんに辿りつくはず。
足がパンパンになったら、立ち止まって休めばええし。
腹が減ったらキットカットでも食えばええたい。
振り返ってもええよ。前に行くことば忘れんどけば。

そして、その一歩一歩を心から楽しむことば大切に。
逆に言えば、自分が楽しむことができる道を選ぶことも大切。


馬鹿やから、いっつも同じことしか言えんし、
これからも何度もそんなことを言い続けるやろうけど、
そんな自分にとって大切なことを再確認した山登りやった。



そしてもう一つは生きとることへの感謝。


屋久島の自然、むちゃくちゃ雄大やった。綺麗やった。優しかった。
緑に輝くコケの間をひたっていく雨の雫や、倒木に張り巡らされる木の根、
巨木の途中からさらに伸びる若木。まだ少し残ってたシャクナゲの花。
そしてホッと下を向くと無数にある5cmぐらいのベイビー木たち。
青と白色のあんまり見かけたことのない色をした沢ガニ。ちょっと鈍そうなカエル。

見るもの全てが、心に染み込む感じで元気になれる。

俺らの何倍も何十倍も何百倍もそこで生きてきた木々をはじめとして、
そいつらと可憐な草花やコケなんかが絡み合って見せてくれる”いのちの姿”は、
もう言葉に言い表せんよ。枯れ木ですら絵になる。
絵という"静"止画ではなく、まさに沢山の命が宿った"動"の姿だ。
何度も言うが"いのち"がみなぎる姿だ。

今、誰かに電話でもしようもんなら、
「屋久島、絶対、一回は行っとったがいいですよ。」と勝手に言い出しそうだ。
そんくらい、よかった。

縄文杉を初めとする巨木と比べれば、俺らはちっぱけなんやけど、
初めは彼らも若かったはずやし、
森自体にいろんな”いのち”が共存して生きとる姿を見て
俺も一生懸命やろうと思ったし、
今、ここに生きとって、こんなにええものを体全体で
感じれたことに本当に感謝したくなった。

この地球に生まれたこと自体に感謝。
山あり谷ありばってん、なんだかんだで今楽しくやっていけとることに感謝。
家族、友達にも感謝やん。ありがとう。

そして、今回の屋久島を何倍も楽しいもんにしてくれた
吉永、吉住、まじでありがとう。

これからも"いのち"ばギラギラと漲らせていこう♪

(注)今回は全て使い捨てカメラで写真撮ったけん、上に載せた写真は、
   吉永、吉住氏から頂いたものです。ほんと感謝!
   俺の写真は現像、データ化が終わり次第、またここに載せます!!

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